瀬戸内海の美しい島々と、坂道が織りなすノスタルジックな街並み。広島県尾道市は、その独特の風景と温暖な気候、そして充実した移住支援で、近年多くの移住者を惹きつけています。
「尾道で暮らしてみたいけど、どんな支援があるの？」 「仕事や住まいはどう探せばいい？」 「子育て環境や地域ごとの特徴は？」
この記事では、そんな疑問をお持ちのあなたへ、尾道市の移住に関する情報を「住まい」「仕事」「子育て」「地域情報」「移住者の声」など、多角的に徹底解説します。尾道市への移住を具体的に検討するための一歩として、ぜひ最後までご覧ください。
目次
尾道市ってどんな街？移住先としての魅力
尾道市は、広島県の南東部に位置し、本州側と瀬戸内海に浮かぶ島々からなるユニークな街です。
- 豊かな自然と景観: 海と山に囲まれ、しまなみ海道の起点としても有名。四季折々の美しい景色が楽しめます。
- 歴史と文化: 古くからの港町であり、坂道に建ち並ぶ古民家や寺社仏閣が風情ある景観を作り出しています。映画や文学の舞台としても知られています。
- 温暖な気候: 年間を通して比較的温暖で、晴れの日が多い過ごしやすい気候です。
- 交通アクセス: JR山陽本線、山陽新幹線（新尾道駅）、しまなみ海道（西瀬戸自動車道）が通り、広島市内や福山市内、四国方面へのアクセスも良好です。
【カテゴリ別】尾道市の充実した移住支援制度
尾道市では、移住者が安心して新しい生活をスタートできるよう、様々な支援制度を用意しています。ここでは主な支援制度をカテゴリ別にご紹介します。
1. 住まいに関する支援：空き家活用から新築まで
移住の第一歩となる住まい探し。尾道市では、空き家バンク制度を中心に、多様なニーズに応える支援策が充実しています。
- 空き家バンク制度:
- 市内の空き家情報を集約し、移住希望者とマッチングする制度です。
- 地域ごとに特色あるバンクを設置（市街地、御調、因島、原田など）しており、希望エリアの物件を探しやすくなっています。
- 物件探しだけでなく、見学調整や利活用の相談、改修のサポートまで、地域のNPO法人などが手厚く支援してくれます。（詳細は後述）
- 中古住宅取得支援（子育て世帯等中古住宅取得支援事業補助金）:
- 子育て世帯や40歳未満の若年夫婦世帯が中古住宅を購入・改修する際、費用の一部を補助。
- 市外からの移住世帯は最大50万円、市内在住者は最大30万円。
- 親世帯との同居・近居の場合はさらに10万円加算。
- 新築住宅取得支援（多世代同居等新築住宅取得支援事業補助金）:
- 子育て世帯や若年夫婦世帯が、親世帯と同居・近居のために新築住宅を建てる場合に一律30万円を補助。
- 空き家の改修・活用支援:
- 空き家再生促進事業補助金: 歴史的景観形成重点区域内の空き家改修費の2/3（上限30万円）を補助。
- 空家等改修支援事業補助金: 空き家バンク登録物件に移住者が改修して住む場合、改修費の2/3（上限30万円）を補助。
- 空き家家財道具等処分支援事業補助金: 空き家バンク登録物件の家財処分・清掃費用の1/2（上限20万円）を補助。古い空き家をリフォームする際の初期費用負担を軽減します。
2. 仕事・起業に関する支援：UIターンからテレワークまで
移住後の生活基盤となる仕事探しや起業も、尾道市は力強くサポートします。
- 移住支援金（就業・テレワーク支援）：
- 東京圏から尾道市へ移住し、特定の条件（広島県のマッチングサイト掲載企業への就職、テレワーク継続など）を満たす場合に支援金を支給。
- 単身者は60万円、世帯（2人以上）は100万円（18歳未満の子ども同伴で加算あり）。
- 申請には移住後の期間や定住意思などの要件があります。
- 就職マッチング支援:
- 「尾道市ふる里就職促進協議会」がUIターン就職をサポート。
- 専用サイト「尾道ふる里就職」では、市内約100社の企業情報や求人情報を掲載。移住者向けの企業説明会も開催。
- 起業支援補助金:
- 創業支援等補助金: 市内で新規創業する際の初期経費（事業所の改修・整備費等）の1/2（上限50万円）を補助。
- 若手創業者等応援給付金: 上記補助対象者が39歳以下の移住者の場合、追加で20万円を支給。
- 創業資金利子補給制度: 創業資金の借入利子相当額を2年間補助（年上限30万円）。起業後の負担も軽減します。
- 地域おこし協力隊:
- 都市部からの人材を受け入れ、地域活性化に取り組む制度。
- 現在も隊員が離島や中山間地域で活動中。地域に根差し、貢献しながら移住・定住を目指せます。
3. 子育てに関する支援：医療費助成から教育環境まで
子育て世代にとって、安心して子どもを育てられる環境は移住の重要なポイントです。
- 手厚い医療費助成:
- 18歳（高校生相当）までの子どもの医療費自己負担分を助成（所得制限なし）。
- 外来は1日500円（月4日まで）、入院は1日500円（月14日まで）の自己負担のみ。子どもの医療費負担が少なく安心です。
- 充実した保育・教育環境:
- 市内には公立・私立の保育所、幼稚園、認定こども園が多数あり、待機児童対策も進められています。
- 小学校から高校、特別支援学校、さらに公立大学法人の尾道市立大学まで、市内で一貫した教育が可能です。
- 妊娠期から子育て期までワンストップで相談できる**子育て世代包括支援センター「ぽかぽか☀」**を各地域に設置。
- 親子で集える子育て支援センターや一時預かり、放課後児童クラブなども利用でき、共働き世帯も安心です。
- 住まい支援（子育て世帯向け）：
- 前述の中古住宅取得支援（最大50万円）や新築住宅支援（30万円）は、子育て世帯の住居確保を経済的に支えます。
- 市内には公園も多く、特に東尾道エリアには大型公園があり、子どもがのびのび遊べる環境が整っています。
4. 就農・漁業に関する支援：担い手を応援
農業や漁業に挑戦したい移住者向けの支援も用意されています。
- 新規就農支援（おのみち『農』の担い手総合支援事業）：
- 農業研修から機械導入補助、経営指導まで、新規就農者を段階的かつ総合的にサポートします。
- 新規漁業支援（新規漁業就業者育成漁船漁具等整備事業）：
- 新たに漁業を始める方に対し、漁船や漁具の購入費の**1/2（上限90万円）**を補助。
- 県の協議会と連携した長期漁業研修制度もあります。
- 農地・後継者マッチング:
- 市やJAが農地のあっせんや相談に対応。耕作放棄地の活用や、レモン生産日本一の瀬戸田地域での後継者育成なども進められています。
5. リモートワーク環境の支援：快適なテレワークライフを
場所を選ばない働き方が広がる中、尾道市はリモートワーカーの受け入れにも積極的です。
- テレワーク移住支援:
- 前述の移住支援金は、テレワークで移住前の仕事を継続する場合も対象となります。
- 整備された通信インフラ:
- 市内多くの地域で光ファイバー回線などのブロードバンドが利用可能。離島や山間部でも主要集落では高速インターネット環境が整っています。（※一部地域は要確認）
- コワーキングスペース:
- 尾道市街地には、海の見えるシェアオフィス**「ONOMICHI SHARE」**があり、快適なワークスペースを提供。移住相談窓口も併設されています。
- カフェや図書館など無料Wi-Fiスポットも点在しています。
- サテライトオフィス誘致:
- 企業誘致も行っており、古民家をオフィスとして活用する事例もあります。
※各補助金・支援制度には申請要件や期間があります。詳細は必ず尾道市の公式サイト等で最新情報をご確認ください。
掘り出し物が見つかるかも？尾道市の「空き家バンク」活用術
尾道市への移住で特に注目したいのが「空き家バンク制度」です。地域ごとに運営されているのが特徴で、それぞれの特色があります。
- 制度の概要: 物件所有者から提供された空き家情報を、市や協力団体が移住希望者に紹介・マッチングする仕組みです。利用登録すれば、内見調整や交渉のサポートを受けられます。
- 地域別バンクの特徴:
- 尾道市街地: 坂の町ならではの古民家や町家が中心。再生プロジェクトと連携し、リノベーション向きの物件も多い。
- 御調（みつぎ）地区: 北部の里山エリア。農村の一軒家や田畑付き物件など、田舎暮らし希望者向け。
- 因島地区: 生活利便性と島暮らしを両立しやすい物件が多い。商店街近くや海水浴場近くの家など。
- 原田地区: 北東部の山あいエリア。自然豊かな環境で、アトリエ兼住居などに適した古民家も。
- 物件の傾向: 築年数が経過した和風住宅が多いですが、立地やタイプは様々。リフォーム前提の物件が中心です。
- 活用できる補助金:
- 空き家バンク登録物件の改修には「空家等改修支援事業補助金」（最大30万円）が利用可能。
- 不要な家財道具の処分には「空き家家財道具等処分支援事業補助金」（最大20万円）も。
- 子育て世帯は中古住宅取得補助（最大50万円）との併用も検討できます。
空き家バンクを上手に活用し、補助金制度を利用すれば、理想の住まいをお得に手に入れるチャンスが広がります。
エリア別！尾道市の暮らしと地域情報
尾道市はエリアごとに全く異なる顔を持っています。あなたのライフスタイルに合う地域を見つけましょう。
1. 本土エリア（尾道市街地～東尾道）
- 魅力: 歴史的な街並み、商店街、文化施設、病院などが集まる中心部。JRやバスの便も良く、生活利便性が高い。東尾道エリアは大型商業施設が集まる平坦な郊外住宅地で、子育て世帯にも人気。
- 特徴: 市街地は坂が多く、道が狭い場所も。駐車場確保が難しい場合も。東尾道は車中心の生活スタイル。
- こんな人におすすめ: 街の利便性と文化的な雰囲気を重視する人、子育て中で便利な環境を求める人。
2. 向島（むかいしま）エリア
- 魅力: 尾道水道を挟んで市街地の目の前。橋や渡船で本土へアクセス抜群（尾道駅まで船で約5分）。島内にスーパーやクリニックもあり生活しやすい。「本土に近い田園エリア」として人気。
- 特徴: 平地が多く自転車移動も便利。自然豊かで穏やかな環境。しまなみ海道の起点。家賃は本土市街地よりやや安い傾向だが、人気上昇中。深夜の本土との往来は渡船時間に注意。
- こんな人におすすめ: 利便性と島暮らしのバランスを求める人、車なし生活も視野に入れる人、自然の中で子育てしたい人。
3. 因島（いんのしま）エリア
- 魅力: かつての因島市。スーパー、銀行、病院など生活インフラが島内で完結。造船と柑橘（はっさく）が有名。しまなみ海道で本土や他の島と繋がる。
- 特徴: 島内は車移動が基本。コミュニティの繋がりが比較的密。UIターン者の起業事例も。小中高まで島内で教育可能。
- こんな人におすすめ: ある程度の生活利便性を保ちつつ、落ち着いた島暮らしを送りたい人、地域コミュニティに関わりたい人。
4. 生口島（いくちじま）エリア（瀬戸田町）
- 魅力: 国産レモン生産日本一の島。穏やかな海と柑橘畑の美しい景観。平山郁夫美術館や耕三寺など観光スポットも。サイクリストにも人気。
- 特徴: 尾道本土まで車で約30～50分。生活には車がほぼ必須。医療機関は限られる。高校は島外へ通学。近年、農業移住者や若者の挑戦が増えている。
- こんな人におすすめ: 豊かな自然の中でスローライフを送りたい人、農業（特に柑橘）に挑戦したい人、アートやサイクリングが好きな人。
5. 北部山間エリア（御調町・原田町など）
- 魅力: 中国山地の麓に広がる里山風景。豊かな自然、清流、古民家が残る。夏は涼しく、静かな環境。
- 特徴: 過疎化・高齢化が進む中山間地域。生活には車が必須。医療機関や高校はない。Iターンで農村暮らしを望む移住者も。
- こんな人におすすめ: 都市の喧騒から離れ、本格的な田舎暮らしや農的な暮らしをしたい人、地域活性化に関心がある人。
十人十色！先輩移住者のリアルな声
実際に尾道へ移住した方々は、どんな暮らしを送っているのでしょうか？いくつかの事例をご紹介します。
- 単身UIターン就職: 島根県出身のIさん。大学卒業後、気候と人の温かさに惹かれ尾道市内の企業に就職。向島でペットとのびのび暮らし、充実した日々を送っています。
- 子育て世代のIターン: 関東から移住した30代のご夫婦とお子さん。リモートワークを機に向島へ。家賃5万円台の広い一軒家で、自然に囲まれながら便利な島暮らしを満喫。「車なしでも意外と暮らせる」と実感。
- 農業への挑戦: 都会から生口島へ移住したUさん。市の研修制度を利用しレモン農家に。地域の人々に支えられながら、念願の農業に取り組んでいます。
- 起業移住: 大阪からIターンし、尾道市街地でブルワリーを開業した佐々木さんご夫婦。市の創業支援補助金を活用し、地域に新たな交流拠点を創出。移住者ネットワークの心強さを語ります。
- 地域貢献型移住: 地域おこし協力隊として百島へ移住した石山さん。SUP指導や情報発信を通じて島の活性化に尽力。「島と移住希望者の架け橋になりたい」と意欲的です。
これらの事例のように、尾道市では多様なバックグラウンドを持つ移住者が、それぞれのスタイルで活躍し、自分らしい暮らしを実現しています。
移住へのステップ：相談窓口とお試し移住を活用しよう！
「尾道移住、興味はあるけど何から始めれば…？」そんな時は、市のサポート体制を積極的に活用しましょう。
- 移住相談窓口「尾道市移住定住コンシェルジュ」:
- 尾道駅近く「ONOMICHI SHARE」内に常設。移住経験のあるスタッフが、住まい、仕事、子育てなどあらゆる相談にワンストップで対応してくれます（対面・電話・オンライン・メール可、要予約）。
- 気軽に相談でき、必要に応じて関係機関へ繋いでくれる心強い存在です。
- 体験滞在支援（お試し暮らし補助）:
- 県外在住の移住検討者が、住まい探し等のために市内に2泊以上滞在する場合、宿泊費の一部を補助。
- 1人1泊あたり最大2,500円（年間上限2万円、1世帯4人まで）。旅費の負担を軽減し、現地下見を後押しします。
- お試し住宅:
- 市街地の古民家「坂暮らし体験ハウス『坂の家』」などで、実際の尾道暮らしを体験できます（要予約・有料）。
- 地域によっては期間限定の体験プログラムも。最新情報はコンシェルジュや市HPで確認しましょう。
- 移住体験ツアーなど:
- 広島県や市が主催する現地体験イベントも随時開催。先輩移住者との交流会やオンラインツアーなど、情報収集の機会が豊富です。
まずは気軽に相談窓口へ連絡したり、お試し移住制度を利用して現地を訪れたりすることから始めてみませんか？
移住者に人気のエリアは？物件探しのヒント
移住希望者から特に人気が高いエリアとその理由、物件探しの傾向を見てみましょう。
- 人気エリア:
- 尾道市街地: 圧倒的な風景の魅力と利便性。「海の見える家」希望者に人気。
- 向島: 本土への近さと島暮らしのバランス。「ちょうどいい距離感」で車なし生活も視野に。兼吉地区などが特に人気上昇中。
- 東尾道・高須エリア: 郊外の利便性を重視する層に人気。平坦で生活しやすく、子育て環境も◎。
- 瀬戸田（生口島）: 農業や地域づくりに関心のある若者や、スローライフ志向層から注目度アップ。
- 物件探しの傾向とアドバイス:
- 人気エリア、特に市街地や向島の好条件物件は競争率が高い。早めの情報収集が鍵。
- 「海が見える」という希望は多いが、現実的な利便性（買い物、病院）も考慮してエリアを選ぶ人が多い。
- 最初から理想に固執せず、まずは利便性の良いエリア（東尾道など）に住んでから、市内で引っ越す「二段階移住」も有効な戦略。
- エリアを限定しすぎず、柔軟に候補を広げることで、掘り出し物に出会える可能性も。
まとめ：あなたらしい暮らしを尾道で見つけよう
尾道市は、豊かな自然と歴史文化、そして充実した移住支援制度が魅力の街です。空き家バンクから新築支援、就職・起業サポート、手厚い子育て支援まで、移住者の多様なニーズに応える体制が整っています。
市街地、島しょ部、里山エリアと、それぞれに特色ある地域があり、あなたの理想のライフスタイルに合った場所がきっと見つかるはずです。
移住成功の鍵は、十分な情報収集と現地体験、そして相談窓口の活用です。この記事を参考に、まずは「尾道市移住定住コンシェルジュ」に相談したり、お試し移住を利用したりして、尾道への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
「海・島・里山・街」がコンパクトに詰まった尾道で、あなたらしい新しい暮らしを実現しましょう！
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